2021年01月22日

文春S・F劇場(Science Fiction Theatre =空想科学劇場) 放送リスト

「空想科学劇場」(Science Fiction Theatre)はZIVプロダクションが製作し1955年から57年にかけて米国で放送されたSFテレビドラマである。日本では翌1956年10月からNHKテレビにおいて字幕放送されたが、当時としては珍しい「SFテレビドラマ」をNHKが放送した理由は、いわゆる「五社協定」によって多くの邦画がテレビ放送できなくなったことにあった。その穴埋めとして海外ドラマを輸入するにあたり「ビルボード1位2位の全米人気番組」という点が決め手となったもので、特段「SFドラマだから」というわけではなかった。

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「空想科学劇場」等五十二本追加輸入
NHKテレビでは九月いっぱいで提供がうちきられる邦画五社劇映画に代るものとして、独立映画をはじめ外国ものではアメリカおよびイタリア両国劇映画のテレビ放送を契約したが、邦画五社作品が姿を消す十月以降の「映画サロン」で上映するテレビ用劇映画をさらにアメリカから預入することになった
これはアメリカのテレビ用劇映画製作会社ズイヴ(ZIV)社との間にテレビ映画のシリーズもの「空想科学劇場」二十六本「ハイウエイ・パトロール」二十六本の計五十二本の輸入が決定、十月から明年九月末までの一年間にわたつて以上二作品を交互に毎週「映画サロン」で上映する、こんど輸する「空想科学劇場」「ハイウエイ・パトロール」はいずれも今年七月アメリカの一流雑誌ビルボードの行った人気投票では一、二位を占めた人気番組であり、現在NBCのネットワークを通じてゴールデン・アワーに放送中の最新テレビ映画である
「空想科学劇場」の内容は想像もつかない未来の驚異的世界を描いた科学性に富んだ空想科学映画でまた「ハイウエイ・パトロール」は警察隊を中心として犯罪を追求するスペクタクル・スリラー劇映画で、ブロードリツク・クロフォードが主役を演じている、同映画の輸入に当つてはNHKで目下大蔵省と折衝を行つており、近日中は輸入許可が下りることになつている

しかし放送されてみると瞬く間に視聴者の心を掴んで反響を呼び、結果として当初予定の26話分ではおさまらず、アメリカで放送された全78話分を日本でも放送し終えるに至った。

作家の荒俣宏は小学3年生の時にリアルタイムで「空想科学劇場」を見ており、小学館発行「TV博物誌」p130の中で「ピラミッドの秘密(The Stones Began to Move)」や「恐怖の無人車(The Phantom Car)」、溶岩の中に刻み込まれた恐竜の鳴き声を再現するエピソード(The Frozen Sound)の思い出話を綴っている。

またインターネット草創期からブログ「Ocean Web Space」を公開している開業医の大橋克洋氏もまたリアルタイム視聴者の一人で、日本放送第一話「明日の世界から来た男(Time Is Just a Place)」や「時間を盗む男(Operation Flypaper)」のエピソードを今でも覚えているそうである。

ZIVプロダクション製作のテレビドラマは1962年のユナイテッドアーティスツとの合併以降、著作権の流れが作品ごとに解りにくくなったらしく、「空想科学劇場」の権利の所在についても海外のネットでは「既にパブリック・ドメインになった」「いやMGMが引き継いだ」と二論に分かれていた。パブリック・ドメイン説を採るブート(海賊版)メーカーはSci-Fiチャンネルでの放送用素材を使って全話ブートDVDセットを発売していたが、2015年になってタイムレスビデオ社がMGMから正規許諾を得て待望の8枚組の全話DVDセットを発売した。本来ならこれでブートレグは社会的にお役御免となるはずなのだが、正規版で「カラー素材が失われているため白黒版で収録」となっている#34「The Long Day」がブートレグではカラーで収録されているのだから参ってしまう。

ちなみに洋書では2012年にベアマナーメディアから詳細な研究書が出版されているが、何らかの事情があって鮮明なスチル写真の原版を使用することができず、全てファクシミリで送信したかのように画質を落としたスチルとなっている。

サンダーバード研究家として知られる伊藤秀明は音楽専科社発行「空前絶後のオタク座談会2 ナカヨシ」p46掲載の座談会で、東北新社のフィルム倉庫に「空想科学劇場」の日本語吹き替え版16mmフィルムが眠っているのを確認したと明かしている。伊藤は東北新社にポジがある理由を「70年頃に東京12チャンネルで再放送したことがあるから」と言い添えているが、今回確認できたのは東京12チャンネルの開局から間もない1964年7月から1966年2月にかけての放送分だった(おそらく70年代には放送されていないのでは……という気がする)。本作はアンソロジーであるためホスト役のトルーマン・ブラッドリー(吹き替え:小林恭治)以外は明らかなレギュラーキャストがなく、回に応じて次に挙げるような声優が声を当てている。
相沢治夫、青野武、麻生美代子、石原良、伊藤阿津子、伊藤克、稲葉まつ子、井上真樹夫、今西正男、大川修司、大木民夫、大宮悌二、小原乃梨子、香椎くに子、勝田久、加茂嘉久、家弓家正、北山年夫、木村令子、小林清志、佐原妙子、塩見竜介、嶋俊介、城山堅、新谷恭子、杉田郁子、諏訪孝二、関根信昭、瀬能礼子、園田昌子、滝口順平、立壁和也、田畑明彦、千葉耕市、鷹塔正泰、富田千代美、仲木隆二、中島喜美栄、中村正、筈見純、原田一夫、牧野和子、水島晋、緑川稔、武藤礼子、宗近晴見、村越伊知郎、村瀬正彦、森ひろ子、八奈見乗児、陸路久子、渡辺知子、和田啓
(五十音順、ラテ欄からの判明分による)

ラテ欄では九分九厘「SF劇場」と省略表記されている本作の正式タイトルは「文春S・F劇場」という。週刊文春がスポンサーに付いていたのかと当時の週刊文春を手繰ってみたが広告は見当たらなかった(見落としたのかもしれない)。
放映リストは下記の通りで、全78話+再放送4本を足かけ3年にわたって放送しているが、NHK版「空想科学劇場」がそうであったように東京12チャンネル版「文春S・F劇場」もまた放映順が米国オリジナル版と大きく異なる。ラテ欄ではカラー表記も見当たらないため、アメリカではカラー放送された第1シーズン(第1話~第39話)のエピソードも東京12チャンネルでは一律に白黒で放送されたようだ。

【1964年】
1 07/14 種の起源
2 07/21 白蟻の恐怖
3 07/28 謎の宇宙ステーション
4 08/04 宇宙計画第44号
5 08/11 人工太陽
6 08/18 盗まれた時間
7 08/25 月の裏側
8 09/01 第7の感覚
9 09/08 生まれ変わりの男
10 09/15 人間カメレオン
11 09/22 未来の人間
12 09/29 人造食糧
13 10/06 生き返ったマンモス
× 10/13 (五輪中継のため中止)
× 10/20 (五輪中継のため中止)
14 10/25 声の合成と殺人事件
15 11/01 怪電波の正体
16 11/08 北極の怪信号
17 11/15 ある化学者の殺人
18 11/22 消えたウラニウム鉱
19 11/29 造られた天才
20 12/06 宇宙ロケットと謎の人々
21 12/13 蜜蜂の秘密
22 12/20 二百才の青年
23 12/27 台風30Mの謎
【1965年】
× 01/03 (正月特番のため中止)
24 01/10 凝結音
25 01/17 空飛ぶ円盤
26 01/24 海底都市
27 01/31 死の盲目飛行
28 02/07 人造石油
29 02/14 人工心臓
再 02/21 怪電波の正体
30 02/28 愛とテレパシー
再 03/07 人工心臓
31 03/14 無音の恐怖
32 03/21 負電荷の男
33 03/28 午前2時の死
34 04/04 浮び上った石
再 04/11 第7の感覚
35 04/18 恐怖の細胞
36 04/25 宇宙学博士
37 05/02 砂漠と水
再 05/09 白蟻の恐怖
38 05/16 謎の円盤
39 05/23 千里眼
40 05/30 不死身の男
41 06/06 深夜の奇蹟
42 06/13 宇宙からの声
43 06/20 心臓からの信号
44 06/27 冷凍人間
45 07/04 緑の爆弾
46 07/11 石の中のピラミッド
47 07/18 狂った眠り
48 07/25 人類滅亡計画
49 08/01 死人の声
50 08/08 昆虫人間
51 08/15 盗まれた秘密
52 08/22 荒野の殺人車
53 08/29 頭脳の驚異
54 09/05 永遠の生命
55 09/12 暗闇の白い影
56 09/19 音の殺人
57 09/26 奇跡の脱出
58 10/03 生れ変った男
59 10/10 人間レーダー
60 10/17 殺人樹
61 10/24 幽霊谷の秘密
62 10/31 電波の魔力
63 11/07 ゼロの世界
64 11/14 謎の大爆発
65 11/21 盲目の少年
66 11/28 生きている光
67 12/05 殺人光線
68 12/12 四次元の少女
69 12/19 謎の招待
70 12/26 盗まれた指紋
【1966年】
71 01/02 声なき叫び
72 01/09 三十世紀の男
73 01/16 謎の宇宙船
74 01/23 月からの信号
75 01/30 最後の診断
76 02/06 謎のスーツケース
77 02/13 電波人間
78 02/20 マッハ3

posted by 猫山れーめ at 11:27
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