2021年04月29日

雛形モゲラのマスコミ記事(1)

1957年の東宝特撮映画「地球防衛軍」にはモゲラというロボット怪獣が登場する。その姿から一見すると破壊活動を目的としたモンスターだが、特撮ファンの見解によるとこれは単なる侵略ロボットではなく遊星人ミステリアンが地下基地建設に使った土木作業ロボットなのだそうな。とはいえ劇中のモゲラはやはり破壊活動を行なう。映画前半の早い段階で登場し、目から青白い火球(プラズマ?)のようなものを発射して田舎町を焼くが、最後は自衛隊の罠にかかって崖から落とされる。その後、国会での報告シーンで「モゲラの残骸を分解して調べた」と言っていたから所詮は金属製品、動かなければ地球人でもバラせるようである。

個人的には、劇中に登場したモゲラよりも雛形として作られた粘土原型のモゲラが大好きだ。劇中とはプロポーションがまるっきり違うので、こちらは特撮ファンの間では通称「雛形モゲラ」または「粘土原型モゲラ」と呼ばれて区別されている。私が雛形モゲラを好きなのは幼少のころブルマァク製のモゲラのソフトビニール人形を持っていたという思い入れのせいかもしれない。当時のソフビ人形モゲラは劇中のプロポーションではなく雛形モゲラをモデルに作られているのだ。

雛形モゲラのスチル写真は専門書やムックで「地球防衛軍」が取り上げられる時にしばしば掲載されることがある。屋内でのモノクロが4種類と屋外でのカラー写真が1種類だっただろうか。もっとあるのかもしれない。日本テレビが昭和34年4月から翌35年1月まで放送していた「日立ファミリースコープ」に円谷英二がゲスト出演した回ではスタジオに「地球防衛軍」のミニチュア・ジオラマが展示されていたが、ここにいたのも雛形モゲラだった。当時日テレが発行していた広報誌「月刊NTV」にそのときのスナップ写真がカラーで掲載されていて、円谷英二研究で知られる竹内博さんが「私が知る限り最も早い時期の円谷英二のカラー写真です!」とおっしゃるので差し上げてしまったから、今では何年何月号だったか分からないままになっている。

今回なぜ急に雛形モゲラの話など始めたのかというと、海外ドラマ「ジェットジャクソン」のサブタイトルリストでも紹介しようかなと思って朝日新聞をめくっていたらこんな記事が出ていたのである。Mogera01.jpg
お次はモゲラ 東宝の怪物映画
空想映画が得意の東宝撮影所でゴジラ、ラドンに次ぐ三番目の怪物「モゲラ」が誕生した。こんど製作する『地球防衛軍』の主人公になる。これまでの単なる怪獣映画から脱皮して、こんどは本格的な空想科学映画を、というのがスタッフの抱負で、このモゲラもゴジラ、ラドンに似た怪物だが、中身は歯車やゼンマイなど、機械ばかりのロボットということになっている。
完成間近のハリボテの原型をみると、背中に円いノコギリ盤がついており、鼻先や手足の指は土を掘るドリル、目玉には電気がついて放射能を発するというもの。
物語は、宇宙に浮ぶ遊星ミステロイドで原水爆戦争の結果、人が住めなくなり、宇宙人たちは宇宙船に乗って地球に安住の地を求めてくる。そしてこのモゲラを電波で操縦して、地中に都市を築き、地球を侵すというもの。地球防衛軍はさまざまの新兵器を使って彼らを追い出すのだが、それらの兵器とともに、人工衛星、宇宙船、地下王国など、自慢の特殊技術を駆使する効果が見ものになろうという。
(「朝日新聞」1957年7月26日 夕刊5面より)


……いくら「完成間近のハリボテの原型」と断ってあるとはいえ、本当に造形中の状態を全国紙にのせる人がありますか。Mogera02.jpg
キャタピラの鎧や螺旋ドリルの嘴がないこの状態ではまるで子供が遊びで作った粘土細工のようだがプロポーションは確かに雛形モゲラだ。ここからあのシャープでメタリックな雛形モゲラにまで仕上げるのだから造型家の腕にはただただ驚かされる。それにしても朝日新聞、7月26日掲載とは相当早いスクープ写真のような気がする。現場が「いやまだこれ出来てないから困ります」と渋るのを「いいからいいから」とかいって撮っちゃったんだろうか。
posted by 猫山れーめ at 13:25| Comment(0) | クラシック特撮映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください
最近のコメント