2019年09月15日

宇宙物語・遊星人M 全話レビュー/第3話「ガロアよりの使者」

宇宙物語シリーズその二 遊星人M
第三話「ガロアよりの使者」
1956年12月27日(木)20:00~20:30放送

原作:香山滋、脚色:魚住大二、音楽:宇野誠一郎、広告代理店:博報堂、提供:シルバー携帯ラジオ(白砂電機)
制作:大垣三郎、演出:北代博、フロアマネージャ:忠隈昌、AD:柴田馨、デザイン:坂上建司、美術連絡:青山宏央、美術進行:芦田光長、小道具:高橋俊一、衣装:山我幸江、化粧:小松英子、音響:高橋孝・市川昭和・居作昌果、テクニカルディレクター:岩西浩、カメラ(ロケ):糸田頼一・藤波貞夫・中村昭三、ビデオエンジニア:北大路矗、オーディオエンジニア:林清男・須賀良浩、照明:倉本泰司

出演:
浅香(天文台勤務 理学博士)50歳……江川宇礼雄
園部伊都子(その助手)26歳……西朱美
水島亮吉(新聞記者)33歳……沼田曜一
関なち子(その恋人 インターン医学生)23歳……藤波京子
小野寺善樹(国立細菌学研究所長 医学博士)45歳……河野秋武
今井周一(科学小説家 アマチュア写真家)36歳……原保美
今井カズ子(その妹 サラリーガール)21歳……青島純子
寺尾晃(カズ子の恋人 サラリーマン)27歳……相原巨典
遊星人M(惑星ガロア人)……江見渉
川北利子(看護婦)……山岡久乃
ゴリラ……高木新平
ナレーター……浦野光

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 熱病の正体は依然不明だったが、国立細菌学研究所の小野寺所長(河野秋武)は新薬の効果を試すため、熱病患者の血液から採った病原体を自らに注射して試そうとしていた。小野寺はかつて別の熱病を同じ療法で治療したことがあったのだ。理論的に確かめている暇がないと言ってウイスキーグラスに入れた新薬を飲もうとする小野寺を、この熱病で入院している浅香博士(江川宇礼雄)の助手・園部伊都子(西朱実)とインターンの関なち子(藤波京子)は、無謀だと言って止めた。さらに伊都子は自分が代わりに実験台になると申し出るのを聞いて、なち子はいかなる場合でも人体実験は認められないといって反対する。そんな押し問答が続く中、水島記者(沼田曜一)が三人の間に割り込んできて、ゴリラ失踪事件の現場に残されていた遺留品を鑑定してほしいといって緑色の血に濡れた指を小野寺に見せた。水島記者の恋人でもあるなち子が「先生は細菌学が専門だからお門違いよ。生物学の先生に見てもらったら?」とあしらうが、既に水島はあちこちの専門家に見せて回って結論が出なかったのだという。最初は苦笑いしていた小野寺も、知的好奇心をそそられて観察を始める。そこへ浅香博士付きの川北看護婦(山岡久乃)が「浅香博士がどこかへ行ってしまった」と駆け込んできた。受付に浅香博士への面会希望者がきたというので断りに行ったほんのわずかの隙にいなくなったのだという。小野寺たちは慌てて浅香を探しに部屋を飛び出すが、水島はその行きがけのドタバタに紛れて、目をつけていたウィスキーのグラス(実は熱病の新薬)を飲み干し、それをごまかすため空のグラスにウイスキーを注ぎ直してから出て行った。

 円盤の中ではこの一部始終がモニター画面に映し出していた。遊星人M(江見渉)にさらわれ、円盤の中でMとモニター画面を見ていた今井カズ子(青島純子)は、今の面会希望者とは自分の兄であるSF作家・今井周一(原保美)のことだと気がついた。Mは、周一と浅香博士が邪魔されることなく面会できるよう、自分がある場所へ誘導したのだと語り、モニター画面を調節し始めた。するとモニターに浅香博士と周一、それにカズ子の恋人・寺尾晃(相原巨典)の三人が会見している様子が映し出された。熱病で昏睡状態と聞いていた浅香博士が何事もなく話しているのを見て驚くカズ子。Mは浅香博士の状態を「私の意思の通りに動く時だけ元気でいられる、そんな病気なのだ」と言い、東京で流行している熱病は自分の仕業であると語った。今から自分もこの会見の場へ行くとカズ子に告げるM。

 先ほどモニターに映し出されていた場所では、浅香博士が周一に不穏な話を続けていた。「……そうだ、私も君と会うように命令を受けたのだ。君と会って説得するように」「説得? 何を説得なさるんです」「君は、円盤が消えたことについて、ある理論を持っている」うなずく周一に浅香が畳みかけるように言う。「しかし、その理論は間違っているのだ」周一は何も話さないうちから間違っていると決めつけられたことを怪しみ「どうしてご存じなんです、私の考えを」と逆に問いかけるが、浅香は答えない。「私の考えはこうです……」「いや、言わなくてよろしい。私にはわかっている。そしてそれは、まちがっているのだ。だから捨てなさい、そんな空想は。発表しようなどという馬鹿げた考えはよしなさい」「しかし……そんならなぜ、妹をさらっていったんでしょう……」何かに思い当たる周一。「……僕を黙らせようとして」「他に要求があるのだ。君に対して」「どんな要求です」「それは……あの者が来て、直接君に話す」「あの者?円盤に住む生物ですね」うなずく浅香。「この屋上へ舞い降りてくる」「屋上へ?」「夜の闇とともに舞い降りてくる……もう間もない……」

 その頃、小野寺は伊都子やなち子が浅香博士の捜索に掛かりきりになっている隙をみて一人研究室に戻ってきていた。そして新薬が入っているはずのウィスキーグラスをあおってから、自らの腕に病原体を注射する。だが……小野寺が飲んだのは熱病の新薬ではなく、水島記者に差し替えられた本物のウィスキーだったのだ。なち子が研究室に戻ってきたとき、小野寺は熱病を発症して今まさに昏倒するところだった。全てを察して駆け寄るなち子に小野寺は、今まさに自分の身に起きている症状を記録するように言って症状を伝えながら意識を失った。

 夜が来て病棟の屋上から眼下に眺める街々には明かりが灯り始め、ジングルベルの音がかすかに聞えてきた。そのとき病棟の屋上に待機していた浅香博士、周一、寺尾の眼前に忽然と遊星人Mの姿が現われる。周一がMと向き合っている隙をみてその場からそっと抜け出す寺尾。

 研究室では水島、伊都子、なち子、川北が小野寺の発病を知って落胆していた。水島がなち子に、小野寺の作った新薬というのは注射なのかと尋ねかけたとき、息を切らせて寺尾が駆けこんできた。「け、警察へ電話を」「何です、どうしたんです」「あらわれたんです、円盤……空飛ぶ円盤のやつが」「えッ」「屋上で会ってる……今井さんと浅香博士が」「えっ、浅香先生が」

 屋上で周一はMから、妹と引き換えにMのスポークスマンとなり、地球人にMの意思を広めるよう迫られていた。「君の意志?どんな意志です」と尋ねる周一にMは「そんな質問は許されぬ。私に従うか、そもなければ……」といって浅香を指さした。その時、寺尾に案内されて水島・伊都子・なち子・川北が屋上へドヤドヤと駆け上がってきた。Mの姿を目の当たりにして戦慄する水島たち一同。Mは浅香を指して言葉を続ける。「……彼はすでに私の味方だ。心を失ってしまったのだ、地球人の心を……永久に。君をこのようにしないのは、君には今いった役目を与えたいからだ。従わねば、君も死ぬのだ。よけいな人間どもと同じように……」ふとMの言葉が途切れる。「……これらのよけいな人間と……同じように……」Mは駆けつけてきた面々を見まわしながら話をしていた。Mはその中に伊都子の顔を見てとると――どういうわけかMは放心状態になってしまったのだ。Mの様子が変なことに気付いた水島が「おいッ、何だ君は」とMに怒鳴る。Mに見据えられておびえ、人の後ろに隠れる伊都子。水島が重ねて問いかける。「どっから来たんだ!何で来たんだ!」「……私は、遊星ガロアの使者……」「ガロア?」水島は遊星ガロアと聞いて伊都子が何か知っているのかと目を向けるが、伊都子はわからないそぶりで首を振る。「何の使いだ!」「……命令を伝えに来た」「命令?馬鹿にするな、こっちには命令される覚えはない」「従わねば、全滅する」「大きく出たね!むざむざやられると思ってるのか」Mは屋上から眼下に広がる街の灯を指さした。「見るがいい。君たちの街……クリスマス・イブとかいい踊り楽しんでいる地球人たち……何が起きるか、よく見るがいい」そして何かの合図を始めようとするように手を高々と振り上げるM。円盤の中でもカズ子がモニター画面を見ながら心配そうに両手で胸を押さえている。手を振り降ろそうとするM――その時、怯えた伊都子から「待って……怖いわ、やめて……お願い」という言葉が口を突いて出た。Mは明らかに意志を動かされた様子で「あなたが言うのか。お願い、と……」と伊都子に問いかける。うなずく伊都子。Mは静かに手をおろした。

 その時、寺尾からの通報を受けて駆け付けた出窪刑事が警官隊とともに屋上に駆け込んできた。武装警官の姿を見て俄然強気になった寺尾は、Mを指して「こいつはカズ子をさらった誘拐犯だから早く捕まえてくれ」と刑事に訴える。水島となち子もそれに同調して「動物園のゴリラをさらったのもこいつに違いない、その証拠に指が1本欠けているはずだ」「熱病菌を撒き散らした犯人もきっとこいつよ」と口々にMを非難した。警官隊にピストルを向けられたMは、そのこと自体にはまるで無関心のようにふるまい、浅香に小型の機械を与えて円盤に連絡を取るよう指示した。浅香は伊都子の静止を振り切ってクリスマスパーティーに浮かれる夜の街へと出て行く。後を追う伊都子、周一、寺尾。Mは警官隊から銃で威嚇されて身動きできないようだった。浅香は街のキャバレーで開かれていたダンスパーティーにもぐり込み、飛び入り参加のボーカル客を装ってバンドマイクに機械を付けて円盤への連絡を始めた。「ガロアの宇宙船に告ぐ。Mはいま……」パーティーの喧騒の中でマネージャーに引き摺り下ろされる浅香。その隙を見て壇上に上がった周一は、やはり飛び入り客を装って歌を歌いながら、合間合間に円盤内のカズ子に向けたメッセージをはさむ。「カズ、聞こえるか――きいてるか――カズ、すぐ助けるぞ――もう少しの辛抱だ――Mはね、Mのやつは……」円盤の中でモニターから周一の声だけが伝わってくるのを聞いたカズ子は、画像も映し出そうとして焦ってダイヤルを回し、かえってチューニングを外してしまう。周一は何か肝心なことを伝えようてしていたようだったが、カズ子には伝わらなかった。「……だから、もうすぐだぞ――」その時、周一の歌に合わせて踊っていた人々のダンスの輪の中に、行方不明になっていたゴリラ(演:高木新平)が突然現われた。たちまち大混乱となるパーティー会場、その機に乗じてバンドマイクへ歩み寄っていくゴリラ――その後ろには浅香博士が付き添うように歩いてきている。屋上ではMが警官隊に迫られて絶体絶命、円盤ではカズ子が必死にダイヤルを操作中、そしてパーティー会場では浅香が今まさにマイクを手にして円盤への連絡を行なおうとしていた――。

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 出窪刑事を演じた俳優名は不明。12月27日放送なのでリアルタイムとのシンクロを図ってかクリスマス・イブの喧騒を劇中に取り込んでいる。台本では夜にまたたく街の灯をテロップで表現する指示がある。これと、円盤内のモニター画面に地上での出来事が映るシーンくらいが今回のトリック(特撮)シーンだろうか。もしかしたら病棟屋上のシーンで夜景にスクリーンプロセスを用いたかもしれない。各テレビ局は開局当初よりスクリーンプロセスを導入していたが、当時のスクプロは後方からスクリーンに投射するタイプ(リア・プロジェクション)だったので場所をとる割に画質が悪く、邪魔扱いされて早々と使われなくなった……という話を当時「遊星人M」で美術デザイナーを担当した坂上建司氏から伺ったことがある。ちなみに前作「誰か見ている」ではリア・プロジェクションの前で江川宇礼雄が演技をしているスナップ写真が当時の雑誌に掲載されている。
posted by 猫山れーめ at 15:10| Comment(0) | 遊星人M(TV版) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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