2019年07月05日

宇宙物語・遊星人M 全話レビュー/第1話「円盤飛来?」

宇宙物語シリーズその二 遊星人M
第一話「円盤飛来?」
1956年12月13日(木)20:00~20:30放送

原作:香山滋、脚色:魚住大二、音楽:宇野誠一郎、広告代理店:博報堂、提供:シルバー携帯ラジオ(白砂電機)
制作:大垣三郎、演出:北代博、フロアマネージャ:忠隈昌、AD:柴田馨、デザイン:坂上建司、美術連絡:青山宏央、美術進行:芦田光長、小道具:高橋俊一、衣装:山我幸江、化粧:小松英子、音響:高橋孝・市川昭和・居作昌果、テクニカルディレクター:岩西浩、カメラ(ロケ):糸田頼一・藤波貞夫・中村昭三、ビデオエンジニア:北大路矗、オーディオエンジニア:林清男・須賀良浩、照明:倉本泰司

出演:
浅香(天文台勤務 理学博士)50歳……江川宇礼雄
園部伊都子(その助手)26歳……西朱美
水島亮吉(新聞記者)33歳……沼田曜一
関なち子(その恋人 インターン医学生)23歳……藤波京子
小野寺善樹(国立細菌学研究所長 医学博士)45歳……河野秋武
今井周一(科学小説家 アマチュア写真家)36歳……原保美
今井カズ子(その妹 サラリーガール)21歳……青島純子
寺尾晃(カズ子の恋人 サラリーマン)27歳……相原巨典
遊星人M(惑星ガロア人)……江見渉

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1956年初冬のある日、大空に高音を発する発行体が現れ、それは空中に停止すると、大勢の人々が見守る中で忽然と消えてしまった。
その正体について日東新報の新聞記者・水島亮吉(沼田曜一)は三鷹天文台長の浅香博士(江川宇礼雄)に取材を試みるが、博士は言葉を濁して明言を避ける。それを横から取って代わるように現れた博士の助手・園部伊都子(西朱実)は、発行体の正体はアル・アーラーフ、つまり超新星爆発であろうと話す。辻褄は合うが本能的なところで納得のいかない水島がなおも食い下がると、伊都子は、博士もある仮説を持っており今日の会議で発表するかもしれないと語って去っていった。

その夜、昼間の騒ぎに出合わして首尾よく発行体をカメラに収めたSF小説家の今井周一(原保美)は、同居する妹カズ子(青島純子)と、訪ねてきた妹の恋人寺尾晃(相原巨典)に暗室でネガを現像してみせたが、写真は全て真っ黒に感光していた。露光を間違えるはずはないんだがと訝しむ周一に、カズ子は昼間の騒ぎが宇宙人の襲来ではないかと不安をのぞかせる。そんなカズ子に周一は、宇宙の住人は全て本質的に平和主義者だから心配することはないと説く。ちょうどその時ラジオから臨時ニュースが流れてくる。都内で原因不明の熱病が発生し、浅香博士が会議の席上で「サーチライト……」と言い残して倒れたというのだ。周一はこの言葉に思い当たるものがあったらしく、浅香の代理とばかりに新聞社へ向った。

倒れた浅香博士を診察した国立細菌学研究所長の小野寺博士(河野秋武)は熱病の病原体をいまだに発見できず悩んでいた。インターン医学生の関なち子(藤波京子)は発生のタイミングから考えてこの熱病の原因が空飛ぶ円盤に関係あるのではないかと推察する。

これらの空飛ぶ円盤について思索を巡らせる人々の一部始終をテレビモニターで監視している何者かの姿(江見渉)があった。
ヒトデのような指を持つその人物が機械を操作すると、テレビは小野寺博士と関なち子が話し合う病室から一転し、日東新報で水島に何かを説明している周一の様子を映し出した。怪人物がさらに機械を操作すると、今度は寺尾を送り出してひとりアパートに残っているカズ子の様子を映し出す。そしてカズ子が眠りについたとき、その部屋の前へと何者かの影が近づいていった――。

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スポンサーが当時ポータブルテレビとラジオを製造販売していたシルバー携帯ラジオなので、劇中でラジオが音楽やニュースを流すシーンを意識的に設けている。本放送ではこのシーンで画面下にCMテロップが挿入された。CM枠は他に、スタジオで高橋恵美子が製品を紹介する生CMを冒頭に1分、番組の最後にフィルム製作によるCM1分が設けられている。

ドラマの最初に現れる発行体(空飛ぶ円盤)はテロップまたはマジックシーンを用いたハメコミ合成で表現したらしいが、「大空」から「ビルの窓から顔を出して空を眺める人々」のシーンに切り替わったのに円盤の合成が消えておらず、円盤がいつまでも画面の下に残っていた……と当時第一話を見た報知新聞の記者に書き記されてしまっている。また、円盤の内部の光の点滅がクリスマスツリーのイルミネーションに使う点滅球のそれで、こどもだましに感じたとのこと。ただ前作「誰か見ている」に比べて出演者がのびのびと演じていた点は評価されている。

当時TBSには少し広いAスタジオと狭いBスタジオの2つしかなく「遊星人M」の放送に使われていたのは狭いBスタジオだった。テレビカメラも2台しか無かったため、生放送では片方のカメラが映しているうちにもう片方のカメラがサッと移動して画面の切り替えに備えなければならない。パズルを組み合わせるような複雑なワメラワーク、スイッチングのセンスが求められていたのは想像に難くない。また冒頭の浅香博士と水島記者が話しながら近づいてくるシーンでは、はじめの会話3つをあらかじめ録音しておいて本放送時に流すよう指定されていた。二人がまだセットの端で演技しているうちはマイクが声を明瞭に拾えない可能性があったため、別録りのセリフで補完したのである。機材もノウハウも足りない生放送の時代に知恵と工夫で「特撮SFドラマ」という複雑怪奇なものを放送した先達の勇気には敬服するばかりだ。なお「遊星人M」でブームマイクが使われるようになったのは番組も終わり間際の第10話からになる。

第一話でレギュラー陣が全員何らかの出番を与えられているのは登場人物紹介の意味合いもある。ラスト間際になって登場する謎の男=遊星人Mは台本の記述では手か影しか映らないはずだが、配役一覧では江見渉が第一話からクレジットされており、顔が映らないからといって代役をたてたわけではないようだ。

【追記】2019/8/23
※放送時刻を20:30~21:00(台本の表紙にある記述)から20:00~20:30(ラテ欄で確認した実際の放送時刻)訂正した。
posted by 猫山れーめ at 01:51| Comment(0) | 遊星人M(TV版) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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