2019年06月29日

宇宙物語・遊星人M 全話レビュー/まえがき

「遊星人M」……正式タイトル「宇宙物語シリーズその二 遊星人M」は、昭和31年12月~昭和32年3月にかけてラジオ東京テレビジョン(現在のTBSテレビ)で全13話が放映された日本最初期の特撮SFテレビドラマである。

TBSテレビは昭和31年7月から「宇宙物語 誰か見ている」という空飛ぶ円盤テーマの特撮SFテレビドラマを放送していた。これが全20回で終了したあと、出演者とスタッフはほぼそのままに、新たに「宇宙人による侵略テーマ」の新シリーズを始めた。副題が「その二」とあるのはそのためである。

原作には双葉社の大衆小説誌「傑作倶楽部」に香山滋がかつて連載していた同名の怪奇SF小説が用いられた。原作では終盤になって登場する人物などもドラマでは当初から登場し、それぞれの人物をめぐるストーリーが同時進行していきながらやがて一本の道に収束していく群像劇の形が取られている。ドラマの序盤こそ原作に沿ったストーリーとなっているが後半からはドラマオリジナル設定がふんだんに盛り込まれ、ストーリーも原作小説とはほとんど異なっている。そのため、こんにち全集などで読むことのできる香山滋本人の小説は原作というよりもむしろ「原案」に近い。

生放送時代でVTRが無いどころか正面向きしか撮れない重量級のカメラが局内に2台しかないという時代に、テロップなどの電気的な合成画面や、スクリーンプロセス、グラスワーク、16mmフィルムに別撮りしたミニチュア特撮への切り替えなど、当時できる限りの知恵をしぼってトリック撮影を実現していった。宇宙人が登場するテレビドラマ第一号はというと前番組の「誰か見ている」どころかNHKの児童劇に操り人形を混在させた「星から来た紳士(1956)」、テレビ紙芝居も範疇に含めるとTBS「惑星第10号(1955)」まで遡れてしまうが、特撮という手段で空飛ぶ円盤による東京の破壊シーンや円盤対円盤の空中戦を表現したテレビドラマ第一号はまぎれもなく「遊星人M」である。

登場人物は実質的な主人公にSF小説家の今井周一(原保美)、新聞記者の水島亮吉(沼田曜一)、天文台長の浅香博士(江川宇礼雄)。ウルトラQでいうところの万城目・一平・一の谷博士の役どころをイメージしてほしい。これに、浅香博士の助手でキーマンとなる園部伊都子(西朱実)、周一の妹・カズ子(青島純子)とその恋人・寺尾晃(相原巨典)、伝染病研究所所長の小野寺博士(河野秋武)とその助手で水島の恋人・関なち子(藤波京子)、新聞社の給仕でマスコット的存在の早野少年(山本豊三)が加わって、「M」と名乗る神出鬼没で正体不明の男(江見渉)の謎を追う。

その他、Mが操るゴリラのスーツアクターに高木新平、ロケット工学の大島博士に清水一郎、看護婦に山岡久乃。後半オリジナル展開に突入してからの追加キャストに、赤堀あき(高橋真子)と赤堀眉美(近藤万紗子)の母娘、ガロアの声に矢島正明(声の出演)。全話とおしてのナレーターに浦野光。プロデューサー・大垣三郎、演出・北代博、音楽・宇野誠一郎。シルバー携帯ラジオ(白砂電機)一社提供。

OPはまず画面に「宇宙物語 シリーズ その二」というテロップボードを表示した後、1分間の生CMが入り、最後に「提供 シルバー携帯ラジオ」のテロップを表示。
続くOPは16mmフィルム+テープ録音なので全話共通。まず浦野光によるOPナレーションが流れる。
「日頃この世には何事もなく、私たちは安心しきって街を歩く。これは周囲がみな私たちと同じ人間、すなわち地球人だからである。だが、果たしてそうだろうか。いま、この瞬間、私たちの知らない恐怖、地球以外の生物が私たちを狙っていないと断言できるであろうか。そして、その最初の犠牲者は……あなたかも知れない」
ナレーション中の映像は、TBS屋上から見おろした赤坂4丁目の風景→銀座の雑踏につなぐ・銀座の人波・交差点の人間のひとりにズームイン、という内容。ナレーションが終ると宇野誠一郎のOPテーマ曲が流れる。OPフィルムが暗転して星空になり、その奥から円盤3機が飛来する。円盤がアップになってそのまま消えると「遊星人M」のタイトルロゴがあらわれる。ロゴ消えるとまた星空になり、星空をバックにしてスタッフ・キャストが表示される。

YuseijinM_01.jpg

次回からは各話のあらすじを紹介します。
posted by 猫山れーめ at 21:20| Comment(0) | 遊星人M(TV版) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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